お知らせ・トピックス

子どものいじめと慰謝料

Q:子供がいじめを受け、学校に行けなくなりました。いじめた子供の親に慰謝料を請求することはできますか?

A:いじめが原因で、子供が学校に行けなくなるほどの精神的な苦痛を受けた場合、その苦痛は不法行為責任を生じさせる「損害」といえます。しかし、いじめをした子供に責任能力(自分の行動が法律上許されないものであり、その結果について法律で決められた責任を負う事を理解する能力)がなければ、その子供の不法行為責任を追及することはできません。

責任能力の有無は、すべての子供について一律に決められているものではありませんが、いじめをした当時12歳前後になっていた子供については、責任能力が認められる可能性が高いといえます。

いじめをした子供に責任能力がないと判断された場合には、いじめをした子供の親(親権者)や未成年後見人は、監督義務者としての責任に基づいて不法行為責任を負います。監督義務者は、監督義務者としての義務を尽くしたこと、または、仮に義務を尽くしたとしても損害の発生は避けられなかったことのいずれかを証明しない限り、免責されません。

他方、いじめをした子供に責任能力があると判断された場合でも、いじめによる被害の発生と、いじめをした子供の監督義務者の義務違反との間に相当因果関係が認められる時は、監督義務者自身の不法行為責任を追及する事が出来ます。

隣人の音のトラブル

Q:隣に住む人が夜中にピアノの練習をするので、音がうるさくて眠れません。どのような解決方法がありますか?

A:戸建て住宅の場合は、地域の自治会などに相談して、話し合いによる解決のあっせんをしてもらう事が考えられます。マンションなら、まずは管理会社に相談してみましょう。さらに、お住まいが区分マンションの場合は、建物の区分所有等に関する法律で、建物の管理または使用に関して住民(区分所有者)の共同の利益に反する行為は禁止されています。そこで、マンションの他の住民からも同様の苦情が多く寄せられているときは、規約で騒音防止のルールを定めることも一案でしょう。

それでも解決しない場合、ピアノの音が受忍限度の範囲内(客観的に見て、社会生活上我慢せざるを得ない程度の不快さと考えられる範囲内)かどうかを検証し、受忍限度の範囲を超えるようなら、民事調停、民事裁判の手続きにより、相手側に対して音量を下げることや、練習の時間帯を変えること、週あるいは月ごとの練習回数を減らす事などの対応を求める事ができると考えます。また、損害賠償(不眠症になった場合の医療費、慰謝料の支払い)の請求が認められる可能性もあります。

ただし、判決を得るまでには相当の時間がかかることもありますので、当面の措置そして、裁判所に仮処分(例えば、裁判の決着がつくまで、相手方に夜間のピアノの練習をやめるよう命令すること)の申し立てをすることも考えられます。

ポイントは、第三者(調停員や裁判官に納得してもらう)証拠ならびに証明材料をそろえる事です。受忍限度の範囲内(客観的に見て、社会生活上我慢せざるを得ない程度の不快さと考えられる範囲内)かどうかの検証は当方にお任せください。

認知症の高齢者の財産

Q:認知症の高齢者の財産を守る方法として、法律上どのような制度がありますか?

A:その高齢者に後見開始の審判を受けていただくことが考えられます。認知症により事理を弁識する能力(判断能力)がない状態の方は、家庭裁判所で後見開始の審判を受ける事が出来ます。この審判を受けた方(成年被後見人)にはその財産を管理する権限を与えられた成年後見人が付されます。成年後見人は、成年被後見人に代わって(成年被後見人の法定代理人として)、施設への入所契約などの重要な取引を行う事もできます。

また、成年後見人は、成年被後見人が結んだ契約を後から取り消す権限を持っています。ただし、生活用品の購入など日常的な取引については、後見開始の審判を受けているというだけでは取り消すことが出来ない仕組みになっています。

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